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骨 盤 の 回 転

    骨盤の回転は、直感的にイメージするのとはちょっと違う動きをしますのでご紹介します。

以下に、ランナーの腰部加速度波形と腰の角速度(回転の速度)を示します。

図は連続する2歩の波形を複数本、重ねて描いています。一歩目が右足着地、二歩目は左足着地です。

図中、黒線は腰の角速度を[度/秒]で表しています。プラスは左回転、マイナスは右回転です。

360であると1秒間に1回転の速度になります。

また、図中、青線は上下方向緑線は左右方向赤線は前後方向の加速度を表しています。

※角速度の測定性能はさほど立派ではなく、100[度/秒]以下は測定にかかりません。ご容赦を。
 
1.
 
スプリンターが100mを11.41秒で走った時の骨盤回転


 



 
 
 
@
 
 
 
A
 
 
 
 
B
青線のピーク(B付近)は、左図の↓の姿勢の時に発生します。
 
右足が接地したとき、少しだけ左回転します。
右足にブレーキがかかり、腰の右側が慣性で前に進む、という解釈
です。
 
着地の衝撃を受け止めつつ腰が下に沈む過程であり、その前半の
期間ですが、ブンと右回転しています。ざっと見て15度くらいです。
左の図を見ると、この時期の振出足は膝が支持足の後ろにありま
す。左足を前に振り出すのだから、右回転はひとまず納得です。
 
腰の位置が最も下がり、着地の衝撃を最大の力で受け止めたところ
です。このデータでは僅かな右回転が出ています















 
C
 
 
 
 
  
 
 
D
 
離地直前〜離地直後の時期ですが、右足着地なのに左回転しています。
振出足は引き続き前に出ているようなのに何故だ?
右足を軸にした右回転ではないのか?、と納得しがたいですね。
 
これは、体の後ろ側の筋肉が一斉に働いたのが原因で、靴底を支点とし支持足側の大転子を作用点
として上体を前方にスイングした結果であると考えています。例えば、机の上にティッシュの箱を置い
て、箱の右側を前に押せば左回転し、左側を前に押せば右回転する、というのと同じ解釈です。
 
腰を前方に押しやる動作を止める過程で、ここでようやくイメージに馴染む右回転が現れています。
以下、次の着地まで小刻みな左右回転を繰り返しています。
2. 箱根ランナーが100mを17.49秒で走ったときの骨盤回転



一歩目は右足着地ですが、離地直前〜離地直後の時期に、左回転しています。

スプリンター氏のCだけが現れています。

他の箇所でも回転があるはずですが、100[度/秒]以下の低速回転であったと考えられます。



3. まとめ

うまくまとまらないので、転々とします。

加速度計を机の上に立てて、止っている状態からスッと前に押しパッと止めると、スプリンター氏の赤線グラフ A〜Dのような山と谷の波形が現れます。

事実、ランナーのスロー映像を見ると腰がグッと押し出されているのが分かります。

多くの場合その動作の始点は、大腿が真下を向いた時期です。

まぁ、何と申しましょうか、毒にも薬にもならない知見ですが、敢えて言えば、B〜Cにおける前進力はその

一部が回転運動に抜けてしまうものなんだ、となりましょうか。

(2017/4/2のつぶやき) ダイナマックスというトレーニングがありますよ。
なんば走りで話題になった末續さんは相当な内股で走っていましたね。


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「腰部の加速度とスピードの関係」もご覧下さい